2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳となって、香港を除くと女性が世界1位、男性が世界2位です。また、平均余命(ある年齢から平均何年生きるか)からすると、65歳の男性で20.05年、女性で24.91年となっています。
つまり、高齢者になってからの平均余命からすると、男性が85歳、女性が90歳が平均寿命になります。まさに人生100年時代と言っても過言ではありません。
しかし、厚生労働省が発表している将来推計によると、2025年時点では約700万人(高齢者の20%)が認知症の有病者となると推定されています。
1.高齢者における認知症有病率
厚生労働省では、高齢者における年齢階層別の認知症有病率をグラフを使って発表しています。これによると、年齢とともに認知症になる有病率は増えて、男性の85歳頃には約30%、女性の90歳頃には約55%が認知症になっています。
長生きすることは嬉しいことですが、将来認知症になる確率がこんなにも高いかと思うとぞっとしませんか。
2.認知症の特徴
私の母は6年前に88歳で他界しましたが、亡くなる数年前から認知症でした。認知症と言っても、比較的軽いものから重度のものまであり、母の場合は比較的軽く要介護度2と判定されました。母とは同居して介護をしていましたが、その時の体験を踏まえて、認知症の特徴をいくつか列挙します。(母が認知症であったときの特徴から抜粋)
1.昔のことは覚えていても、数日前や直前のことはすぐに忘れる。
ゲートボールやお花の会の予定などは、紙などに書いておいても忘れる。
2.繰り返し同じ話をする。本当かどうか分からない噂話などを繰り返し話す。
1度や2度ではなく、1日十回以上も繰り返し話すことがある。
3.日常の買い物が困難になる。財布のなかのお金が数えられないので、
常にお札を出してお釣りをもらう。また、毎日同じものを買ってくる。
4.銀行の預金通帳などの管理が難しくなる。
通帳を泥棒に盗まれた(本当かどうかわからない?)と言って、
何度も新しく通帳を作り直した。
5.衣服の整理ができない。洗濯はできても、洗濯したものを整理して
タンスに入れられない。大きなビニール袋に入れたまま、それがいくつにもなる。
3.認知症になると契約等ができなくなる
認知症になると、公にも制限されることが多くなります。
たとえば、銀行の窓口でお金を引き出そうと思っても一人ではできません。アパートの賃貸契約もできません。そのような場合には、成年後見制度を使って成年後見人が代理で行います。成年後見人は、本人や配偶者または4親等内の親族などが家庭裁判所に申立てをして、親族や司法書士、弁護士などから任命してもらいます。司法書士や弁護士などの成年後見人には、月あたり2万円~6万円(財産の額等によって違う)の報酬を払わなくてはなりません。また、勝手に変更や解任などはできません。
4.認知症対策
認知症にならないように、身体や頭の体操などを常日頃心がけることが大切です。しかし、認知症になっても困らないように、事前の準備も重要です。以下に4つほど事前対策を列挙します。
1.遺言を書く・・・自分が亡くなったときに相続が争族とならないように、遺言を書いて遺産分割などを決めておきます。認知症になると遺言が書けません。(法的にも無効となる場合が多い)
2.エンディングノートを書く・・・葬儀社や知人への連絡方法、葬儀をどうしてほしいか等を書いておきます。また、家族への思いなどを書いておくとよりBetterですね。
3.任意後見人を指定する・・・任意後見制度を使って、認知症になったときに後見人となってくれる人を、元気なうちに決めておきます。
4.家族信託契約なども検討する・・・親族などで、自分の財産を管理し任せることができる人がいれば、家族信託契約を結んでおくのも一つの方法です。
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