令和2年度の税制改正大綱で身近なものを簡単にまとめてみました。詳しくは専門書を参照するか専門家に相談するとして、概要を知っておくと今後に役に立つと思います
1.NISAの延長、拡充があります。
① 20年間40万円/年までの非課税投資である「つみたてNISA」の勘定設定期間が令和19年から5年間延長され令和24年末までになりました。
制度そのものは変わりません。金融庁は今後も恒久化を推し進めていくようで、「つみたてNISA」はさらに延長される可能性があります。
② 5年間120万円/年まで非課税投資である「一般NISA」も勘定設定期間が令和5年から5年間延長され令和10年末までになりました。
そして令和6年からは制度が変更になります。新制度では、非課税枠が2階建てとなり、1階部分が5年間20万円/年までの非課税積み立て投資、2階部分は5年間102万円/年までの非課税投資となります。また2階部分の102万円非課税枠に投資するためには、1階部分の非課税積み立て投資をおこなっていることが前提です。
③ ジュニアNISAは令和5年末で廃止になります。
2.iDeCo(個人型確定拠出年金)等の制度改正
① 企業型確定拠出年金とiDeCoそれぞれの加入可能年齢が拡充されました。
② 受給開始時期は、従来では原則60歳以上70歳以下で選択可能とされていましたが、改正後は60歳以上75歳以下の期間で選択可能となりました。
③ 簡易企業型年金およびiDeCoプラス(中小事業主掛金納付制度)は、平成30年5月に個人事業主を含む中小企業(従業員数100人以下)向けに創設されましたが、従業員数300人以下に拡充されました。
④ 企業型確定拠出年金に加入している者がiDeCoに加入する場合は、規約の定めが必要でしたが、改正後は規約の定めがなくても加入ができるようになりました。
⑤ 退職時等で企業型確定給付年金(DB)や企業型確定拠出年金(DC)からiDeCo等への年金原資の持ち運びやすさ(ポータビリティ)が改善しました。
3.未婚のひとり親にも寡婦(寡夫)控除が適用されます。
従来では同じ「ひとり親」でも婚姻歴がないと寡婦(寡夫)控除がなく、税制上不利でした。これを是正し、未婚のひとり親についても寡婦(寡夫)控除を適用することになりました。その要件と控除額を以下に書いておきます。
(要件)
・総所得金額等の合計額が48万円以下の同一生計の子供を有する。
・本人の合計所得金額が500万円以下である。
・住民票に事実婚である旨の記載がされた者がいない。
(控除額)
所得税、住民税の計算上、総所得金額から以下の金額を控除する。
・所得税:35万円
・住民税:30万円
また、寡婦と寡夫では要件や控除額等が違っていましたが、これがほぼ平等となりました。
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