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相続について知っておきたいこと3回目(相続放棄と限定承認)

相続について今回は先月の2回目に続いて3回目をお送りします。3回目としては、相続放棄や限定承認についてです。



相続放棄や限定承認をするには、3か月以内に家庭裁判所に対して申述しなければならず、うっかりして3か月が過ぎてしまうと親の借金を背負うことになるかもしれません。


相続放棄や限定承認をしなければ単純承認と言って、プラスの財産もマイナス財産も全て受け継ぎます。


1)相続放棄

裁判所:相続放棄の申述


相続放棄とは、相続財産についてプラスの財産もマイナス財産も一切受け継がないと意思表示することです。


相続放棄するには、相続開始があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に対してその旨の申述書を提出しなければなりません。


相続放棄をすると、民法上では当初から相続人ではなかったものとみなされます。


【例1】

母は既に他界し一人で暮らしていた父(80歳)がある日突然亡くなりました。


息子と娘は49日の法要を終えて、そろそろ兄妹の間で父の遺した遺産の分割をしようと近くの銀行や取引先などを調べ始めました。


ところが調べるのに意外と手間取り半年も過ぎたころ、個人事業の借入などでトータル2,000万円もの借金がある事がわかりました


プラスの財産としては、時価1,000万円にも満たない古い店舗兼実家と若干の預貯金があるだけです。兄妹達はこれから父の大きな借金を返済しなければならないと考えるとぞっとするのでした。


そこで、相続放棄を思い立ったのですが、時すでに遅しで家庭裁判所への申述期間3か月をとうに過ぎていました。


▶︎このような場合では、家庭裁判所にあらかじめ期間延長の手続きをしておく必要があります。


【例2】

父は既に他界し一人暮らしの母(85歳)も先日亡くなりました。

相続人である子2人は母の遺した財産について調べ始めました。


そして分かったことは、母はわずかな年金だけでは暮らしていけなかったようで、借金を重ねて負債が1,000万円近くになっていました。


プラスとなる財産はほんのわずかです。そこで子2人はあわてて相続放棄をしました。


それによって、母の姉(既に他界)の娘、つまり姪(第3順位である姉の代襲相続人)が新たな相続人となったのです。


姪は遠くに暮らしていて、親戚関係ではあるものの叔母の子たちとは疎遠となっていました。


姪としては叔母には子が二人もいるので、叔母が亡くなっても自分が相続人になるとは思いもよらず、突然の借金返済の催促状が届いて驚いたのです。


2) 限定承認

裁判所:相続の限定承認の申述


亡くなった親などの被相続人がどのくらい負債を抱えていたか分からない場合等では、相続人が相続で得た財産の限度まで債務を負担し、それ以上マイナス財産を受け継がない継承方法として限定承認があります。


限定承認は財産目録を作成し、相続放棄と同様に3か月以内に家庭裁判所に申述します。ただし、相続放棄は単独でもできるのに対して、限定承認は相続人全員が共同で行う必要があります。


相続人の数が少ない場合などでは魅力的に思える限定承認ですが、実際はほとんど利用されていないのが現状です。

その理由としては、限定承認の手続きが非常に複雑だからです。


限定承認する場合の注意点として代表的なものをあげます。


(1) 家庭裁判所への申述では相続人全員が共同で行わなければならず、しかも相続人のうち一人でも限定承認が受理されるまで(1年以上かかる場合もある)に被相続人の財産に手を付けると単純承認したとみなされます。


(2) 譲渡所得税がかかる場合があります。

つまり、プラス財産が土地等であれば、それを時価で売却してマイナス財産に充てるとみなされ、みなし譲渡所得税が発生するのです。譲渡所得税の納付は準確定申告の期限である4か月以内に行います。

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