米ドル/円相場は1ドル133円20銭(6月8日14:00現在)を付けています。1ドルが133円を超えるのは20年ぶりだそうですが、いったい円安はいつまで続くのでしょうか?この円安は私たちの日常生活にどのような影響があるのでしょうか?
●米ドル/円の10年間の為替変動と今後の見通し
図1の為替変動のグラフを見ると、最近の10年間で1ドル80円だった為替レートは1ドル133円と53円上がって(円安になって)います。さらにここ1年でも1ドル110円から1ドル133円と23円も円安になっています。この傾向は暫く続くとみられ、最悪では1ドル150円くらいになる可能性も指摘されています。
なぜこのように円安になるかの主な理由は、米国など海外と日本の政策金利や国債などの金利差が広がることによります。日本の市中銀行の普通預金利率は0.001%で、ほとんど利息が付きません。
100万円を預けても1年間の利息はたったの10円です。定期預金にしても0.002%で似たようなものです。個人向け国債の適用利率は法で定められた最低利率の0.05%にほぼ張り付いたままです。その理由は、日銀がゼロ金利政策を堅持しているからです。
なぜ日銀はゼロ金利政策を維持しなければならないかというと、1200兆円を超える国の借金(赤字国債や地方債などの負債残高)の利率を上げられないからです。仮に国債などの利率が2%上がるとすると、単純計算で年間24兆円の利払いが増えることになります。これは2022年度の日本国予算(107.6兆円)における国債費(過去の借金の返済と利息=24.3兆円)が倍になる計算です。
年金や健保などの社会保障費にあてる36.3兆円をはるかに超えてしまいます。
●円安のメリット・デメリットと生活への影響
円安のメリット・デメリットは、輸出品が安く(輸出産業はメリット)輸入品が高くなることです。米国などにドル建てで資産を持っている人は、日本円に換算すると高くなります(売却すれば儲かる)。海外から来る観光客は自国通貨を円に換えることで、安く旅行や買い物ができます。
私たちの暮らしについては物価が上がり苦しくなるでしょう。ロシアのウクライナ侵攻により穀物や原油・LNGなど原材料やエネルギー関連の先物価格が上がり、さらに円安により拍車をかけて値上がりしています。
エネルギー関連の値上がりは深刻で、電気代やガス代、ガソリン代などに直接影響を与えています。政府は社員の給料を上げるように各企業に働きかけていますが、なかなか急には難しいでしょう。企業も原材料の価格上昇や電気代の上昇などで苦しくなっています。
●私たち年金生活者などの防衛策は?
私たち年金生活者などの防衛策は、節約と買いだめしか無いかもしれません。スーパーのチラシを隅から隅までじっくり見て、特売の品を買いだめして値上がりに備えましょう。
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