今回は金(ゴールド)投資についてご紹介したいと思います。「有事の金」とも言われて、戦争などの有事があると株価は暴落するリスク(地政学的リスク)がありますが、逆に金は買われ価格は上昇します。
そんなことから安全資産とも言われてる金についての投資方法をご紹介します。
1.金投資の特徴
金への投資は、株や債券、投資信託などの金融商品による投資と違った特徴があります。金投資を始める前にはこの特徴をよく掴んでおくことが大切です。
① 金は実物資産です。
つまり、金にはデフォルトリスクはなく、その価値がゼロになることはありません。
長期的にもその資産を保全する効果が高く、安全資産という位置付けになっています。
② 利息や配当などのインカムゲインがありません。
金融商品の多くは利息や配当を投資家に分配するのに対して、金投資では売買することで得られる差益(キャピタルゲイン)しかありません。
③ 実物資産である金は経済の変動を相対的に受けにくいため、株価が下落したときなどに金が買われて上昇するなど、金価格の変動は金融市場と違った動きをします。
④ 実物資産には不動産や美術品などもありますが、それらに比べて売買がしやすく、流動性が高いと言えます。
2.金価格の変動
金価格はいろいろな要素で変動します。
① 国際的には金1トロイオンス(31.1035g)を単位として米ドル建てで取引されているため、為替の影響を受けます。為替が円安となると金価格は上昇し、円高となると下落します。
② 米国債券の金利からも影響を受けます。一般的に金利が高い時は債券が買われますが、金利が下がると金へと投資マネーが流れるため金価格が上昇します。
③ 地政学的リスクからも金価格が上昇します。
2022年からのロシアによるウクライナ侵攻、2023年のイスラエルとハマスの軍事衝突、それ以降の中東情勢の不安定化などにより金が買われて金価格が上昇しています。各国中央銀行で大量に金を買い入れているのもその要因です。
④ 日本での金価格の推移は、2000年頃から2024年までほぼ右肩上がりで上昇し、約10倍になっています。ただし、2000年まではほとんど上昇しておらず、今後において上昇するとは限りません。
3.金投資にはどんなものがあるか
金投資と言ってもいろいろな手法があります。ここでは代表的な金投資の手法を簡単に説明します。
① 金地金や金貨(純金製のコイン)の購入、売却
貴金属会社や貴金属商などで売買できます。金地金や金貨は購入するとき「小売価格」が適用され、売却するときは「買取価格」が適用されます。
購入時には消費税がかかり、売却時には売却価格に消費税が上乗せされます。また売却益は原則、譲渡所得として総合課税の対象になります。
② 純金積立
毎月一定金額で買えるだけの量の金を購入して積み立てていく仕組みです。
積立購入された金は、原則として取扱会社で保管されます。
ドルコスト平均法によってリスク分散されるメリットもあります。
貴金属会社の他にもネット証券など数社が扱っています。1,000円(~3,000円)からの積立も可能ですが、購入時には1.5%~3%程度の手数料がかかります。
スポット購入も可能で、購入した金は売却して現金化するほか、現物引き出しが可能なところもあります。
③ 金ETFや金関連の投資信託
東京証券取引所には、現在金価格に連動するETF(上場投資信託)が4つあります。純資産総額が多いのは以下の2つです。
1326 SPDRゴールド・シェア 円換算したロンドン金地金価格に連動
1540 純金上場信託 金地金1gの現在価格(理論価格)に連動
また、金関連の投資信託としては
・三菱UFJ-三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)
・ブラックロック-iシェアーズ ゴールドインデックス・ファンド(為替ヘッジなし)
・日興-ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)
などがあり、NISA(成長投資枠)でも購入が可能です。
4.まとめ
安全資産として金投資を検討されている方や既に投資されている方も多いと思いますが、金価格は変動要因が多くその分リスクも大きいと言えます。
金地金や金貨の購入による金投資はまとまった投資資金が必要で余りお勧めしません。
金投資にはドルコスト平均法のメリットを生かした少額での純金積立やNISAの成長投資枠を使った金関連投資信託への毎月積立が良いと思います。
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