今回は、最近大きく取り上げられている「孤独死」または「孤立死」について、その現状と対策について紹介します。
1.先日の出来事
数日前、買い物をしようと拙宅を出た時、すぐ近くの路上で顔を下にしてうずくまって倒れている男性の老人を見つけました。
そばには通りがかりの主婦がいたのですが、起こすことができず私が抱き起こして近くに座らせました。
その老人は杖を突いて歩いている最中、何かにつまずいて転び頭を道路にぶつけたようです。額には切り傷があり血がにじんでいました。
私は急いで家に戻り消毒薬を持ってきて傷口に塗りました。
それからすぐに救急車を呼ぼうと思いましたが、傷口は大したことがなく出血も止まり、「救急車は呼ばないでいい、もう大丈夫だから帰るよ。ありがとう。」とはっきりと話されるので、抱きかかえるようにしてその老人の家まで連れて帰りました。
老人の家は5分もかからない近所でしたが、その間に事情などを尋ねたところ、
・老人は最近になって急に足腰が弱わり杖をついて歩いていること
・奥様に先立たれてからは一人で暮らしていること
等を話してくださいました。
私は家に戻ってから、ふと「孤独死」のことを思い出しました。
あのまま帰してしまったけど、その後は大丈夫だろうかと急に不安になり、近くの地域包括支援センターに行き、地域の担当者にことの経緯を話して、再度その担当者と一緒に老人の家を訪問しました。
2.「孤独死」と「孤立死」の現状
少子高齢化や核家族化がすすみ、結婚しない独身者や離婚または配偶者に先立たれた人などで、1人で暮らす世帯が多くなってきました。
2020年の国勢調査によると、日本での1人暮らし世帯は約2,115万世帯で、一般世帯約5,570万世帯の38.1%を占めるまでになっています。
これは1980年国勢調査時の19.8%と比べるとほぼ倍になっており、年々増加する傾向にあります。
また75歳以上に限ると、女性は51.6%、男性は27.3%が一人暮らし世帯となっています。
75歳以上の一人暮らしの場合などでは、家の中で1人で過ごす時間が長く、ある日突然亡くなったとしても暫く誰も気付かないケースがあります。
これを「孤独死」や「孤立死」と言います。
「孤独死」とは、家族や親族がいても遠方に住んでいてなかなか会えなかったり、近隣住民や友達との交流があってもそれほど頻繁でなかったりして、亡くなる際に誰にも看取られずに亡くなることを言います。
「孤立死」とは、家族や近隣住民との関係が希薄であったりして、社会から孤立した状態で誰にも看取られずに亡くなることを言います。
最近では若い人の一人暮らしでも、社会との交流がSNSなどインターネット上でしかないと「孤立死」に至ることがあります。
「孤独死」や「孤立死」は近年において社会問題化してきており、その対処のため2024年4月1日から「孤独・孤立対策推進法」(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/suisinhou/suisinhou.html)が施行されました。
3.「孤独死」や「孤立死」への対策
地域コミニュティでは地域支援包括センターが中心になって、このような1人暮らしの高齢者が安心して暮らせるように、各種見守りサービスを提供しています。
例えば、民生委員や「絆の安心協力員」などを募集して、高齢者の一人住まい世帯を定期的に訪問したり、ちょっとした見守りや声かけを行っています。
自ら「孤独死」や「孤立死」に至らないようにするための対策をいくつか挙げておきます。
① 地域住民との交流やボランティア活動への積極的な参加
② 介護サービス付き高齢者住宅や老人ホームなどへの入居
③ 足腰が弱くなるなど身体能力が劣ってきた場合は、デイサービスなどの介護サービスを利用
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